Session1: ビジネスイベンツの未来に向けた対話 - イントロダクション

コロナ禍を経て、ビジネスイベンツに関わるステークホルダーたちの意識はどう変わったのか、サステナビリティ、ビジネスイベンツがもたらす地域への様々なインパクト、レガシーなど、アフター・コロナのビジネスイベンツに不可欠な要素となったトピックについて語り合う「未来に 向けた対話」。セッション 1 では、国内外のキーパーソンから事例を伺い、ディスカッションに入る前のウォームアップとした。

 『これからの学術集会を考える』

北村 喜文 教授 / Dr. Yoshifumi Kitamura
東北大学 電気通信研究所 教授・副所長
Professor, Deputy Director, RIEC,
Tohoku University

北村先生には、開催されたばかりのACM SIGGRAPH@Daeguでの会議の様子と、2022年10月に東北大学、電気通信研究所にて行われた「これからの学術集会を考える Designing the Next Normal of Academic Conferences」開催の経緯、そこで各発表者から発言された内容などをご紹介いただいた。「これからの学術周囲会を考える」には、日本におけるコンピューター・ヒューマン・インターラクション研究の先駆け的存在である中小路久美代先生や、次世代をになう研究者、さらには、しばしばスポンサーとして学会に関与する産業界の関係者なども加わり、コロナに見舞われたここ数年における開催手法の変化、リアルで学会を開催することの意味、そして今後の企業とアカデミアの関わり方などまで話が及んだ。

なぜ、このようなシンポジウムを企画することになったのか、それはひとえに、「学術集会が研究者にとって非常に大切な場であるからなのです」という先生の言葉が印象的であった。

 『MICEはコロナを経て、新しいステージへ』

塩見 麻子 氏 / Ms. Asako Shiomi
公益財団法人大阪観光局 MICE推進部
MICE Promotion Department,
Osaka Convention & Tourism Bureau

塩見氏には、大阪で新設された「SDDs for MICE 評価制度」について、なぜこのような制度を作るに至ったのか、どのように運用される制度なのか、そして実施に至った事例なども含めて、ご紹介いただいた。❝MICEはイノベーションを促進し、経済を活性化するなどの地域へのメリットがある反面、その消費効果は環境負荷にもなる。欧米を中心にMICEにおいてもサステナブルな取組みが叫ばれるなか、取り組みが不十分であることはMICE競争力の低下を招く。2025年の万博に関心が高まる中、サステナブルなMICEの開催は、この産業が市民からの理解を得るためにも不可欠となるはずだ。この制度は、第三者による評価と専門家による指導のもと、具体的なアクションリストをもとに取り組みをサポートしてゆく仕組みになっている。イベントを開催するのは「主催者」なので、この認証制度の対象を主催者とするとともに、主催者のSDGsへの意識を高めるために、地元や業界が連携して、主催者に訴えかけていくことも重要だ。❞

 『Business Events Impacton Local Community』

アシュウィン・グナセケラン 氏 / Mr. Ashwin Gunasekeran
ペナン・コンベンション&エキシビション・ビューロー
CEO, Penang Convention & Exhibition Bureau [PCEB]

ペナン・コンベンション&エキシビション・ビューローのCEOであるアシュウィン氏には、ビジネスイベントは地域コミュニティにどのような効果を与えるのか、ビジネスイベントの開催が、どのように地域の開発や投資効果を促進することができるのか、ペナンの事例を交えながらお話しいただいた。実際に、大規模なイベントのために交通インフラを整えるよう行政に働きかけるなどの活等もPCEBが行っているというお話には驚かされるところも多くあった。

アシュウィン氏はさらに、いわゆるCSR的な取り組みとして理解されることの多い「レガシー」に関して、ビジネスイベントが地域にもたらす、レガシーにとどまらない真のインパクトについて力説。地域産業の特性と結びついたビジネスイベントの誘致と開催により、産業内部における知識の向上、地域内の産業の発展によって、長期的なインパクトを残すことができるとのこと。

開催されるイベントについてはSNSなどでの発信を行い、市民にイベントの開催を周知しているとの言も印象的だった。